雨風食堂日記【甘味処 川越 あかりや店主の日々雑感】

2007年9月2日(日)

カシオペアの丘で


夏休みの間にゆっくり好きな読書でもしようと思い、ここのところ小難しい純文学が続いていたので、たまにはすっきりと泣けるような本が読みたいなあと考えていたところ、重松清さんの本が良いと書評にあったので読んでみました。

北海道のかつて炭鉱だった町が舞台で小学校時代の4人の仲間の現在と過去を絡めたストーリーでした。物語の核はその内の一人がガンに侵されて家族やかつての親友に見守られながら死ぬということと、「人を許す」というのがテーマだと思うのですが、主人公は私と同じ歳の子持ちのサラリーマンですし、泣ける話の王道であるノスタルジーとしては十分な設定です。

ただ、話の流れは序盤におよそ検討がついてしまい、その後に展開されるこれでもかというくらいの泣かせの場面のオンパレードには説明的で辟易してしまい、感動は薄れてしまいました。作中に出てくる、雑誌の編集者の不自然な存在、子供を奥さんの不倫相手に殺されてしまう男性も不要ですし、地元の権力者であったお爺さんの絡め方も不十分でもっと友人4人だけをさらっと書いたほうが秀作にまとまったのではないでしょうか。

「秘すれば花」という言葉をひさしぶりに思い出しました。

  

甘味処 川越 あかりや

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Filed under: 未分類 — 店主 @ 2:00:13
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2 Comments »

  1. トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」を読みました。コロンブスは世界が丸いことを知らしめたわけですが、この本の主張はIT化・低廉なテレコミュニケーション化が進み世界経済はコンピューターの画面のように平板・フラットになったと様々な事例を紹介しながら説明しています。

    アメリカはインドに仕事をアウトソーシングすることでアメリカ経済は24時間眠らず、それもより安く、活動することができるわけです。例えば、飛行機内に預けた荷物が空港で出てこない際、カスタマーサービスに電話連絡するわけですが、デルタ航空の場合それはインドに繋がり、アメリカに行ったことも航空業界のことも知らないインド人が案内をするわけです。

    国内でもフラット化は起こります。マクドナルドは実験的にドライブスルーの注文をコールセンターで処理する事件を行い、生産性、オーダーのミスが減っていることを確認しています。

    これまでは見える範囲の人が競争相手だったり、その土地の商習慣に倣えばよかったわけですが、ビジネスは大きな広がりを見せていることを知る一冊として示唆に富んでいます。

    しかし、日本はコンピューターで世界に繋がることができても、この島以外で日本語を話す人は少なく英語圏に比べて恩恵に授からないという不利な点がありますね。安い労働力を求めようとしても、言葉が通じないのではしょうがないですね。IT化が進化する中、日本はどこに優位性を見出すことができるでしょうか。誰か教えてちょ。

    Comment by rocklandwonderland — 2007年9月3日(月) @ 18:25:55

  2. 確かにITによってウチのような商店も環境がガラっと変わりました。いままでは地域の一店舗なんてせいぜい商圏半径一キロ弱
    くらいなものでしたが、ネット通販ができることにより、日本中(世界中と言いたいところですが・・)から注文がくるわけですから
    、商店におけるデジタルディバイドも確実に進んでいますね。

    >日本はコンピューターで世界に繋がることができても、この島以外で日本語を話す人は少なく英語圏に比べて恩恵に授からないという不利な点がありますね。安い労働力を求めようとしても、言葉が通じないのではしょうがないですね。IT化が進化する中、日本はどこに優位性を見出すことができるでしょうか。

    オンデマンドなサービスは確かに英語の優位性は否めませんが、だいぶ翻訳技術も進化しているみたいなのでそのうちに言語のフラット化もすすむのでは。

    それ以外は日本メーカーは世界で現地生産して安い労働力を享受してますし、サービスの質という優位性はありますよね。
    とまじレスしてみました。

    Comment by 店主 — 2007年9月3日(月) @ 18:51:07

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