雨風食堂日記【甘味処 川越 あかりや店主の日々雑感】

2008年3月23日(日)

謎とき村上春樹


1月ごろに新聞の新刊書評欄にあった石原千秋さんの「謎とき村上春樹」という本を読みました。

著者は早稲田大学の先生で、学生におこなった講義の内容を本にしたということで興味深く手にしたのですが、初期の5作品をひとつずつ丁寧に、その内容をあるときは時系列に検証したり、セリフの端々に意味を見い出したり、なかなか読み応えがありました。

私はたまたまこの5作品は全部読んだことがあるのですが、一部はもう20年くらい前ですし、ストーリーも忘れかけていたので「こんな内容だったっけなあ」となかば思い出しながらでしたが、その謎解きになるほどなあと頷いたり、そうかなあと首をかしげたり、いろいろと考えました。

村上さんの作品は文章は平易ですが、ストーリーは奇妙で、内容は示唆的かつ通俗性のないところに純文学としての価値があるというのは誰でも認めるところですが、作者も言っているようにその読み解きが正解かどうかは村上さん本人しか分かりませんし、分からなくっていいのでしょうね~。テクスト論として重箱の隅をつつくような読み方もよし、良質の音楽を聴いて気持ちが良くなるような読み方をしてもよし、読書の楽しみ方はひとそれぞれ。

それにしても大学では500人を集める人気講義だとか。生徒さんがうらやましいです。
少子化で大学も生徒集めに苦労している中、「文学で人を呼べるか」という課題に立ち向かう姿勢。
カッコいいですね~。

甘味処 川越 あかりや

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