雨風食堂日記【甘味処 川越 あかりや店主の日々雑感】

2008年11月2日(日)

抱擁家族


小島信夫さんの有名な小説、「抱擁家族」を初めて読みました。

以前から大変評価の高い小説というのは知っていたのですが、今回読んでみて自分の読解力の無さに辟易するほど感情移入できませんでした。

戦後の日本社会の家族・家庭の崩壊を欧米への劣等感と絡めて風刺的に書いているといったところがテーマなのでしょうか。すでにその後に書かれた似たような題材を見すぎているのか新鮮味も感じられず、言葉の言い回しの中途半端な古さも気になってしまいあまり良い読後感ではありませんでした。

きっと1965年ごろの発表時には時代的に衝撃的だったのかもしれません。よく分かりませんが・・。ただ、筆者があとがきで「文学の予言的性格」と題して、「作品というのはあとになった方がよく分かることがあります。」と20数年後に記しているのですが、それが本当ならあと20年位してまた読み返したらどうなのかなとは思います。

でも小島さんはこんなに作品が一人歩きして高評価になるとは思わなかったのではないでしょうか。と考えるのはあまのじゃくすぎるかな?

それと蛇足ですが、わずか300ページ足らずの講談社文芸文庫で定価1,100円。なんでこんなに高いのでしょう。戦後日本文学を代表する作品ならもっと学生が読みやすい値段にしてあげたいものです。

甘味処 川越 あかりや

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Filed under: 未分類 — 店主 @ 1:35:24
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