雨風食堂日記【甘味処 川越 あかりや店主の日々雑感】

2006年5月6日(土)

子供に見せたいボクシング


テレビでボクシングの試合の中継をしていると、つい見てしまいますね~。

以前、”スポーツ観戦はその内容(というかプロセス)でどれだけ観ている人を感動させてくれるかということで結果が全てじゃない”って書きましたが、ボクシングなんてまさにその通り、グラブひとつで戦い合い、実力が伯仲しているほど観ているほうは熱くなりますし、結果はどちらが勝とうが試合後に抱き合う選手に拍手を送りたくなりますよね。。

いかに選手が強くとも、試合後に対戦選手を貶めるようなマイクパフォーマンスをしたり、セコンドが相手側に凄むなんてのは、このスポーツを低俗なものにするばかりか、”強ければ、勝ちさえすれば、何をやってもいい”みたいな、およそスポーツ精神とはかけ離れた道徳感覚をはびこらせ、そんな中継はまったく子供には見せたくないですねー。それを扱うマスコミも”儲かりさえすればいい”拝金主義にどっぷりとつかっているんでしょうか。

今年の始めごろ、35歳にして初めてWBCフェザー級世界王者となった越本隆志さんの偉業をたたえ、それまで最年長記録だった輪島功一さんとを比較して綴った読売の竹内さんのコラムがとても胸を打つ内容だったので引用します。

(読売新聞・編集手帳より以下引用)

元プロボクサーの輪島功一さんが小学校の思い出を本紙に語ったことがある。雑貨屋の同級生が売り物のようかんを見せびらかし、「玉ネギを生で一個食べたら、やるよ」と言った◆終戦の数年後、甘い物が貴重だったころである。「よし」、鼻をつまんで玉ネギにかじりつき、汁に涙を流しながら無我夢中で食べた。もらったようかんの、ひりひりする舌に染み通る甘さはいまも忘れないという◆土木現場で働きながらジムに通いはじめたのは24歳だった。32歳9か月でWBAジュニアミドル級の世界王者になる。玉ネギとようかんは遅咲きの人が味わった人生の辛酸と甘美、そのものであったろう◆一昨日、越本隆志さんがWBC世界フェザー級の王座を手にした。日本人最年長、輪島さんの記録を塗り替えた35歳の世界王者は、平坦な道のりを歩いてきた人ではない◆5年前に肩の筋肉が断裂、医師に引退を勧められている。負ければあとがない。越本さんには越本さんの、目を泣き腫らす玉ネギがあったに違いない。「記録は破られるもの。勇気を与えてくれる勝利だ」。感慨深げに輪島さんは苦労人を称えた◆ボクシングに限らず、スポーツに限らず、胸をよぎる絶望を追い払い、焦燥を追い払いして、玉ネギにかじりついている人がどこかにいるだろう。遅咲きの蕾みに幸あれ。

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辛酸をなめた後の甘美の貴さを子供には教えたいと思います。

 

 

甘味処 川越 あかりや

 

 

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